明治、大正の時代から、東京でも随一の繁華街として発展した神楽坂。いくつもの寄席や演芸場、映画館が集まり、夜店の賑わいは広く人々に知られていました。そして東京六花街の一つに数えられる神楽坂花柳界からは、古賀政男がその才能を見出した神楽坂はん子など、時代のスターを生み出していきました。現在でも神楽坂のランドマークでもある毘沙門天善国寺では定期的に落語会が催され、小唄や常磐津、三味線などのお稽古場があるなど、芸能の灯を守り育てるまちとして知られています。
そんな伝統に引き寄せられてか、夏目漱石や島村抱月が闊歩した時代から現在まで、多くの文化人、芸能人が神楽坂界隈に暮らしてきました。その中でも特に、我が国が誇るべき伝統芸能を担う方々が、多数この地に居を構え、もしくは活動の拠点としています。例えば日本を象徴する芸能・能楽の観世九皐会が拠点とする矢来能楽堂や、人間国宝に指定されている長唄の東音宮田哲男氏、新内の鶴賀若狭掾氏など。その誰もがこのまちを愛し、このまちが育てた文化を誇りにしています。そんな気持ちをなにか形にできないものか。そんな想いから2009年春に新しい形の伝統芸能イベント「神楽坂伝統芸能2009」がうまれました。
2009年の第1回は、遠州茶道宗家家元による供茶式を皮切りに、矢来能楽堂で開催した雅楽・能・長唄・筝曲・新内・日本舞踊の、この街に縁のある人間国宝などの第一人者に神楽坂芸者衆が加わっての競演「神楽坂の至宝が奏でる 神楽坂伝統芸能絵巻」と、やはり神楽坂に縁の深い噺家を集めた「毘沙門寄席」「神楽坂劇場二人会」など街の各所で伝統芸能に親しむイベントを展開。どの演目も、全日、全席満員御礼の大好評を博しました。2010年第2回の伝統音楽・舞踊の公演は「日本の伝統芸能絵巻~美しき日本の四季」として、世界でも類を見ない四季の美しさを、能、長唄、箏曲、新内、日本舞踊で表現しました。落語企画も、前回以上に注目の噺家が集まった「毘沙門寄席」「神楽坂劇場二人会」のほか、落語と、芸者さんと共に楽しむお座敷遊びをセットにした、このまちだから実現できる企画もご用意しました。
そして2011年、さらにパワーアップ。伝統音楽・舞踊の公演は「日本の伝統芸能絵巻~江戸の華」として、江戸の粋を今も伝える神楽坂の街ならではの「江戸の芸能の華やかさ、粋さ」を能、長唄、箏曲、新内、日本舞踊で表現します。
「神楽坂落語まつり」として注目を集めるようになった落語企画では、常連の噺家さんにさらに人気実力を備えた噺家が加わります。そして、2011年からは、建築家・隈研吾氏のデザインで新しく生まれ変わった牛込の総鎮守、赤城神社が会場として加わり、更なる広がりを見せるイベントに発展していきます。ますます進化する「神楽坂伝統芸能2011」に、どうぞご期待ください。
「神楽坂伝統芸能」実行委員会